〈一席を組む〉その1 陰と陽と
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先の茶会では、近衛家煕の重陽の掛軸に、梶原靖元の黒高麗大徳利花入を合わせてみた。
重陽は9x9、陽の極まる時で吉日でもあるが、反面、「陽が極まれば陰に変ず」という陰陽の思想がある。単にめでたい日というよりは、厄除けの節目である。
そのため、辟邪として着せ綿の露を身に写したり、菊酒を飲むなどの習慣があった。
黒高麗徳利は、その菊酒を呑むもの(独酌と掻き落としで書かれている)でもあり、五摂家の重陽の書という「陽」とのバランスをとるための陰としての《黒/独酌》という要素を備えたものとして、対置してみた。
籠の花入では、強い陽とのバランスが取れなそうだと思ったので、この侘びた徳利花入を合わせてみたのだった。
ただ理詰めで陰陽のことを考えてそのようにしたわけでもなく、単に、全体のバランスをケ=侘び寄りに引き付けないと、僕の居心地が悪いのでそのようにしただけである。
この黒高麗徳利花入を素直に使うなら、名残りや十一月、十二月も良く合いそうだ。
秋の夜長に一人酒を飲む。李白の
花間一壺酒
独酌無相親
挙杯邀明月
対影成三人
はまさにぴったりだし、とくに秋や冬は、冷え枯れたものばかりで組むことも良きかな、と思う。そのなかでこそ、花や菓子や茶が、生命に寄り添うものとして、際立ってくるともいえるのではないか。
また高麗にまつわるものだけで席を組むのも面白そうだし、そのときにこの花入は良いアクセントとなりうるだろう。
この花入は色々な想像力をかきたててくれる楽しみがある。
