컬렉션: 村上三和子

伊万里・有田の上絵伝統工芸士。

自由闊達で淀みのない生き生きとした筆致から生み出される絵付は伝統的なモチーフから、村上さんのオリジナルのものまで幅広い。

一般的に、絵付師というのはその名前を表に出さない(それが誰が書いた絵付なのか、誰も気に留めない)ものですが、梶原靖元さんという胎を得て、いよいよその筆の巧みさの本領が発揮されたように思います。

書では、紙で作品の出来のほとんどが決まるとも言われますが、それは焼きもんでも同じことのようです。梶原靖元の土・ろくろ・釉・そしてあの穴窯。これらの「キャンバス」を使った村上三和子の絵付は、見事としかいえません。

超絶技巧でありながら、見せびらかす気配もなく、力みなく、楽しんで描いているのが伝わってくる。

その清々しさは、どこかに向けられた祈りのようでもあり、ただただ美しい。