作家紹介 辻村唯

奈良県で作陶する辻村唯さん。

代名詞ともいうべきエメラルド・グリーンの自然釉は、多くのファンを魅了し続けています。

この自然釉はとにかく料理が映えます。

唯さんの工房はご自宅に併設されています。その暮らしぶり(しつらい)もとても美しく、なんて達者な生活者なのだろうかと、感銘を受けました。

あの自然釉は、こうした営みをする人の手からこそ、生み出されるものなのだなあと、得心したものです。

唯さんの作品は、作品として自立した強度をもちながら、徹底的に生活の道具でもあります。

作品の美しさばかりに眼がいきがちですが、作品に手をふれてみると、その事がわかります。

一見するとざらざらとした表面のようですが、窯出しのあとに丁寧に磨かれており、それ故、口当たりはすべすべなめらかでやさしい。

使う人のことを、しっかり考えられている。

それはまさに用の美として、生活のなかで育まれるためのうつわなのです。