コレクション: 谷穹 

信楽の谷穹さん。

「Q」、それは古信楽にまつわる謎の謂でもあります。

谷さんの工房には古信楽のギャラリーが併設されており、そこではすごい数の古信楽の壺などをみることができます。骨董商のお祖父様が集められたものだとか。そうした出自もあるのか、谷穹さんが古信楽に向ける眼差しは誰よりも深く、鋭い。

谷さんは問う。近現代の信楽焼と古信楽は何かが違う。では何が・どのように違うのか。谷穹さんはその違和感に蓋をせず、透徹した眼で観察し、そして実際に窯焚きしながら検証していきます。

谷穹さんの作品にあって、なんとなくのフォルム、偶然の窯変というものは、存在しません。谷さんは自身の研究によって、窯変も計算し狙って出せることを体験しているからです。
古信楽に関する研究がほとんどされていない状況で、谷穹は独り、古信楽を現代にアップデートする作業を行っている。

もちろんそれは単に考古学的な検証ではなく、生命力に溢れ、現代に渡り合える勁さをもった作品の創造です。

須恵器系から派生しながらも、須恵器のような端正な美を捨て、ゆがみやいびつさ、ザラザラした肌など、それまでの歴史上になく、そして今見ても鮮烈な新しい美を創出した信楽。

その最先端のあり方として、谷さんは今日、信楽を創造しています。